相手の機嫌が気になって、言いたいことが言えない。子どもや部下のことが気になって、つい口を出してしまう——。人間関係でこんなふうに疲れてしまうことはありませんか。そう感じるのは自然なことです。
こんにちは、JIBUNアカデミーグロースのけんさんです。自己肯定感を高めるカウンセリングをしています。この記事では、そんな人間関係の悩みを軽くしてくれるアドラー心理学の「課題の分離」を、見分け方と身近な例でやさしく解説します。
- 課題の分離とは、目の前の問題が「自分の課題」か「相手の課題」かを分けて考えること
- 見分け方は「その選択の結末を、最終的に引き受けるのは誰か」
- 相手を突き放すことではない。相手を信頼して任せ、必要なときは手を差し伸べる関わり方
課題の分離とは?
課題の分離とは、ある問題が「誰の課題なのか」を見きわめて、自分の課題と相手の課題を分けて考えることです。アドラー心理学の対人関係の考え方の、出発点になるものです。
岸見一郎さん・古賀史健さんの『嫌われる勇気』では、対人関係の悩みの多くは、他人の課題に踏み込むこと、あるいは自分の課題に踏み込まれることから生まれると紹介されています。自分の課題と相手の課題を分けることで、必要以上に振り回されずにすむようになります。
「誰の課題か」はどう見分ける?
迷ったときは、「その選択によってもたらされる結末を、最終的に引き受けるのは誰か?」と自分に問いかけてみてください。結末を引き受ける人の課題です。
| よくある場面 | 誰の課題? | 理由 |
|---|---|---|
| 子どもが勉強するかどうか | 子ども | 勉強しなかった結果を引き受けるのは子ども自身だから |
| 上司が自分の仕事をどう評価するか | 上司 | 評価を決めるのは上司だから |
| 頼まれごとを引き受けるかどうか | 自分 | 引き受けたあとの負担を背負うのは自分だから |
| 自分の提案を相手が受け入れるかどうか | 相手 | 受け入れるかを決めるのは相手だから |
| 嫌なことを言われて、自分がどう行動するか | 自分 | どう行動するかを選べるのは自分だけだから |
ポイントは、「相手がどう思うか」「相手がどうするか」は相手の課題だということです。自分にできるのは、自分の考えを伝えたり、相手の役に立てることを申し出たりするところまでです。
課題の分離をすると、何が変わるの?
- 相手の反応に振り回されにくくなる:相手の機嫌や評価は相手の課題だと分かると、必要以上に気にしなくてすむ
- 自分のやるべきことに集中できる:変えられないことに悩む時間が減り、変えられることにエネルギーを使える
- 相手を一人の人として尊重できる:「任せる」ことは、相手を信頼しているというメッセージになる
日常ではどう使う?3つの例
例1:子どもが勉強しない
勉強するかどうかは、子どもの課題です。親が無理やり机に向かわせても、本人が選ばなければ身につきません。
親の課題は、「勉強が大切だと思っている」と気持ちを伝えること、勉強しやすい環境を整えること、「困ったらいつでも手伝うよ」と伝えておくことです。口を出したくなるのは、子どもを大切に思っているからこそ。その気持ちを否定する必要はありません。
例2:職場で頼まれごとを断れない
断ったときに相手がどう思うかは、相手の課題です。一方で、自分の時間や体力を守れるのは自分だけで、これは自分の課題です。
「今週は手いっぱいなので難しいですが、来週なら手伝えます」のように、できる範囲を伝えるのも一つの方法です。引き受けるかどうかを選ぶのは、あなた自身です。
例3:相手の機嫌が悪そう
相手の機嫌は、相手の課題です。「自分が何かしたのかも」とすぐに自分を責めなくて大丈夫です。
気になるなら「何かあった?」と声をかけるのは、自分が選べる行動です。話すかどうかは相手が決めること。声をかけたら、あとは相手に任せてみましょう。
課題の分離は「冷たい」「放っておく」ということ?
いいえ、違います。よくある誤解を2つ整理しておきます。
- 気持ちを我慢することではない:悲しい、悔しいと感じるのは自然なことです。感じた気持ちを否定する必要はなく、その気持ちをどう扱うかを自分で選べる、という考え方です
- 相手を見放すことではない:困っている人がいたら、手伝えることを申し出てかまいません。ただ、それを受け取るかどうかは相手が決めます
「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」ということわざがあります。課題の分離は、相手を信頼して任せ、必要なときには手を差し伸べる関わり方です。課題の分離ができると、見返りを求めずに誰かの役に立つ他者貢献にもつながっていきます。
課題の分離がうまくできないときは?
頭では分かっていても、すぐにできるものではありません。うまくいかないときは、次のことを思い出してください。
- 相手の課題に踏み込みたくなるのは、相手を大切に思っているから。できない自分を責めなくて大丈夫
- いきなり全部を分けようとせず、一番モヤモヤしている1つから始める
- 家族やパートナーなど近い関係ほど難しいもの。少しずつで十分
今日からできる3つのステップは?
- モヤモヤを書き出す:いま気になっている人間関係の悩みを、紙やスマホに1つ書く
- 「結末を引き受けるのは誰?」と問う:その悩みの中にある、自分の課題と相手の課題を分ける
- 自分の課題から1つだけ行動を決める:「気持ちを伝える」「断る」「声をかける」など、自分にできることを1つ選ぶ
一度で完璧にできなくて大丈夫です。あなたのペースで、少しずつ変わっていきます。
よくある質問
- 課題の分離とは、かんたんに言うと何ですか?
-
目の前の問題が「自分の課題」か「相手の課題」かを分けて考えることです。アドラー心理学の考え方で、相手の課題に踏み込まず、自分の課題に集中することで、人間関係の悩みを軽くします。
- 誰の課題かは、どうやって見分けますか?
-
「その選択によってもたらされる結末を、最終的に引き受けるのは誰か」で見分けます。たとえば、勉強をするかどうかの結果を引き受けるのは子どもなので、勉強は子どもの課題です。
- 課題の分離は、冷たい考え方ではないですか?
-
冷たい考え方ではありません。相手を信頼して任せることであり、困っているときに手伝いを申し出ることもできます。ただし、それを受け取るかどうかは相手が決めます。
- 家族やパートナーにも課題の分離は使えますか?
-
使えます。ただ、近い関係ほど難しいので、少しずつで大丈夫です。なお、暴力や暴言などで安全が脅かされている場合は、課題の分離よりもご自身の安全を優先し、専門の相談窓口に相談してください。
まとめ:自分の課題に集中すると、人間関係が軽くなる
- 課題の分離とは、「自分の課題」と「相手の課題」を分けて考えること
- 見分け方は「その選択の結末を、最終的に引き受けるのは誰か」
- 相手を突き放すのではなく、信頼して任せ、必要なときに手を差し伸べる関わり方
相手のことが気になってしまうのは、それだけ人を大切にできる証拠でもあります。自分の課題に目を向けながら、一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。Glow & Grow。
「人間関係でいつも疲れてしまう」「相手の反応ばかり気にしてしまう」——そんなときは、カウンセリングで一緒に整理していくこともできます。はじめての方は、500円の脳傾向性診断から始められます。
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